冬晴れとなった8日、観光客でにぎわう金沢市東山を散策中、梅ノ
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橋の上に人だかりを見つけた。欄干からスマホを向ける先を見る
と、浅野川に反物がゆらゆらとゆれている。確か浅野川での友禅
金沢市東山を散策中
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流しは5年前に途絶えたはず。よもや復活のニュースではと、河
川敷に下りた。
(平木屋、狩工房で作業)
すっきり晴れ渡った冬の日差しを浴びて、川面がきらきらと輝いて
いる。膝まで水に漬かり、反物の糊を丁寧に洗い流す職人の姿は、
5年前のままだ。
「友禅流しが復活したのだろうか」
友禅流しが復活したのだろうか。思い切って声を掛けると、「残念
思い切って声を掛けると、戻る1
ながら、これは着物じゃありませんよ」と、作業する染物師の平木
豊男さん(68)が答えてくれた。「友禅」流しではないらしい。
平木さんがたわしで反物をこすると、糊が流され、真っ赤な牡丹柄
がくっきりと浮かび上がる。大正ロマンのレトロ柄かしらと思った
が、さすがに着物の柄にしては大きすぎるだろう。それにしてもど
こかで見たことがある柄である。
「これは加賀獅子のカヤ。色止めをして、つなぎ合わせたら完成で
す」。平木さんの言葉で合点がいった。半円状の竹の骨組みにかぶ
せて使う、あの大きなカヤを染めていたのだ。布地も着物で使う絹
ではなく、丈夫な麻である。
「平木さんは、創業250年以上になる」
平木さんは、創業250年以上になる老舗染物店「平木屋染物店」
老舗染物店・平木屋染物店、戻る2
(金沢市片町2丁目)の職人だ。普段は近くの犀川の清流で糊落と
しをしているが、染物店の改修工事のため2年ほど前から浅野川沿
いの狩工房に移ったという。今は5年前まで浅野川で友禅流しをし
ていた元地染業の荒木順一さんの工房を借りて仕事をしている。
二つの川を知る平木さんは「川幅がある犀川はドーっと水が流れる
けど、浅野川は穏やか。深くもなく、浅くもなく、流すのにちょう
どいい場所を見つけるのは、おんな川もおとこ川も一緒や」と水面
を見やる。
(今年で犀川に戻る)
浅野川で友禅流しをする職人は多くが人工の川を備えた加賀友禅染
色団地(金沢市専光寺町)に移ったが、平木屋のようにカヤやのぼ
り旗など大物を染めるには、やはり自然の川が一番だという。
平木屋染色店の改修も今秋で完了しており、「今年いっぱいで犀川
に戻るよ」と平木さん。カヤは反物計14枚を流し、この日で作業
は終わったそうだ。
「浅野川の糊落としもこれで見納め」
浅野川の糊落としもこれで見納め。おんな川での貴重な「冬の風物
おんな川での貴重な冬の、戻る3
詩」をしっかり目に焼き付けた。浅野川の友禅流し復活?、正体は
加賀獅子のカヤ、観光客らスマホ向ける。昔は反物などをよく川で
流してきれいにしていた。そんな光景を冬の寒い時によく見かけた。
職人さんの手はすごく冷たくなると思います。仕事ですから仕方あ
りませんね。大変だと思います。
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