(恋愛の価値に一石、金沢で島清恋愛文学賞贈呈式、受賞の吉川さ
ん「憧れている賞)
金沢学院大が主催する第28回島清恋愛文学賞(北國新聞社後援)
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の贈呈式は2日、金沢市のしいのき迎賓館で行われ、「余命一年、
男をかう」(講談社)で受賞した吉川トリコさん(44)をたた
北國新聞社後援
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えた。主人公の余命が短いという王道の設定ながら、ヒロインに
ひねくれた中年女性を据えることで恋愛の価値に一石を投じた吉
川さんは「憧れている作家が多い賞で私もその一人。本当にうれ
しかった」と喜びを語った。
(受賞の吉川さん「憧れている賞」)
受賞作は恋愛への憧れがなく、節約してお金をためることを生き
がいとしている40歳独身女性が主人公。子宮がんを宣告された
ことをきっかけに節約生活を放棄して、たまたま声をかけてきた
ホストと契約結婚をする筋書きとなる。
会見した吉川さんは金沢学院大生が選考過程に加わる同賞につい
て「一貫して若者に向けて書いてきた。若い人の文化は学べても
体感はできない。若者と感覚が乖離しているという不安がずっと
あり、選ばれたうれしさとほっとした気持ちがある」と語った。
「また、恋愛小説と言い切る」
また、「恋愛小説と言い切るには少し抵抗がある」とも話し、選
少し抵抗があるとも話し、戻る1
定した同賞の懐の深さに触れた。
吉川さんは金沢について「ずっとおすしを食べています。ほかの
地域と全然違う」と笑顔を見せた。都市の中に川が流れる金沢の
街並みを好んで「すてきな建物が多い」とも述べた。
「多様性ある賞」
贈呈式では、選考委員の作家林真理子さんが選考経過を報告。
「多様性があるのがこの賞の素晴らしいところ。吉川さんのポッ
プな作品が素晴らしいと一致した」と紹介し、さらなる活躍に期
待した。賞状と賞金を手渡した秋山稔学長は式辞で「新たな歴史
を刻む作品となった」とたたえた。
吉川さんは「男女関係に夢が見られるよう描いた作品。この賞は
励みになる」と感謝した。
「新型コロナ対策のため」
新型コロナ対策のため、同大文学部の学生や教員らに参加者を限
同大文学部の学生教員、戻る2
定した。午前中は小説家を志す学生対象の創作ワークショップが
開かれ、文藝春秋(東京)元監査役の羽鳥好之氏が講師を務めた。
(吉川さん「小説家は真面目」・林さん「共感なくてもいい」)
贈呈式に続き、吉川さんと林さんの対談が行われた。吉川さんは
「小説家は普通で真面目な人が多い」と語り、林さんは金沢学院
大で小説を学ぶ学生に向けて「いつかこの中からプロの作家が出
るのを祈っています」とエールを送った。
吉川さんは、受賞作について清く正しいヒロインじゃなければい
けないという風潮が嫌で「主人公に不倫をさせた」と解説。一部
で「共感できなかった」との批判があることを自覚しているとし
た。
この話に林さんは「小説は共感できなくてもいい。読者の寛容度
が低くなっている」と語り、作家や小説を取り巻く環境の変化を
説明した。
「式後、金沢学院大生が」
(金沢学院大生を激励)
式後、金沢学院大生が吉川さんと林さんを囲んで歓談した。吉川
吉川さんと林さんを、戻る3
さんは登場人物の名前の決め方を尋ねられて「人物の年齢や家庭
環境を含めてバランスに気を付けている」と助言。周囲との競争
に悩む学生には「互いに高め合えるのは素晴らしい環境」と励ま
した。恋愛の価値に一石、金沢で島清恋愛文学賞贈呈式、受賞の
吉川さん「憧れている賞」。若くして亡くなった島清は天才肌の
作家だったのだろう。このような作家は生きている短い時間に多
くの作品を残しているような気がします。長く生きればいい作品
が書けるかというとそうでもありません。天才的な作家は10年
程で才能を出し尽くして燃え尽きてしまうような気がしてなりま
せん。この文学賞に金沢学院大生が関与しているのは本当に素晴
らしいことだと思います。
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