不起訴処分とは、裁判の前段階で検察官が事件を「終結」する手続
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きだ。公の場での審議はなく、不起訴になった途端、事件の真相は
闇に埋もれる。その割合が5割を超える現状は、果たして健全なの
事件を「終結」する
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だろうか。専門家は「検察が事実上、有罪無罪を決めているのと同
じだ」と強い疑問を投げかける。
不起訴処分の主な理由は、容疑者の犯行が事実であるとの認識であ
りながら、総合的な判断で起訴を見送る「起訴猶予」、犯罪の成立
を認定する証拠がそろっていない「嫌疑不十分」、犯人でないこと
が明らかな「嫌疑なし」の三つがある。
「起訴猶予」は、検察が犯罪の軽重や被害者の処罰感情などを考慮
し、起訴しなかったケース。金沢地検の不起訴処分のうち、起訴猶
予の割合は20年は89・4%、21年は86・9%と9割近くを
占めており、検察の裁量が不起訴率の上昇に影響したことがうかが
える。
検察はなぜ、起訴猶予を選ぶのか。甲南大特別客員教授で、弁護士
の渡辺修氏は「弁護活動の成果」との見方を示す。
「1990年に逮捕直後に弁護士が」
1990年に逮捕直後に弁護士が接見する「当番弁護士制度」が始
接見する「当番弁護士制度」が、戻る1
まり、2006年には、容疑者段階で国選弁護人の選任を求めるこ
とができる制度も導入された。渡辺氏は「国選弁護士制度が充実し
てきた結果、被害者との示談が成立しやすくなり、起訴猶予とする
べき事件が増えている」と分析する。
金沢弁護士会刑事弁護センター委員長の小倉悠治弁護士も「被害者
との早期の示談や、更生のための生活環境調整などの弁護活動が奏
功し、不起訴につながっている」とみる。
一方、ある弁護士は不起訴率の高さについて、「検察官が確実に有
罪を勝ち取れる事件だけを選び、起訴しているため」と指摘する。
日本の刑事裁判の有罪率は99・9%。すなわち起訴されれば、確
実に有罪になる。
石川県警の捜査員は「起訴して無罪というのは、検察官にとって恥
になる。有罪率99・9%という『金看板』を維持するために、起
訴に弱気になっているのではないか」と話す。「昔に比べて起訴さ
れない事件が多い。どうせ捜査しても起訴してくれないんだろうと
いう気持ちになる」とぼやく。
「検察からしてみれば、映像など」
検察からしてみれば、映像など客観証拠に乏しい事件は、起訴に向
客観証拠に乏しい事件は、戻る2
けたハードルが高くなる。警察の捜査力、証拠収集能力も問われて
いると言えよう。「えん罪事件を教訓に、取り調べの可視化が進み、
警察や検察が萎縮して、否認の容疑者を厳しく追及しづらくなって
いる」との指摘もある。
起訴と不起訴の判断について、金沢地検の児堀達也次席検事は北國
新聞社の取材に対し、「起訴した被告が無罪となれば、名誉回復は
難しく影響が大きい。有罪が立証できると確信できた場合にのみ、
起訴する」と説明した。
つまり、容疑者の「名誉」を重視する姿勢が、不起訴の判断を増や
す結果につながっていると言える。
しかし、容疑者が不起訴処分になったとしても、その理由が示され
ない中では、世間的には「潔白」とは受け止められず、グレーとみ
なされかねない。裁判にかけないということは、容疑者から無罪を
勝ち取る権利を奪い、生涯にわたり名誉が回復しないことにもなる。
犯行が事実でありながら、不起訴処分にするということは、容疑者
を公開の法廷で裁かないことになる。裁判に上げる前に、事実上、
検察が有罪か無罪か選り分けていることになる。「疑わしきは罰せ
ず(被告の利益に)というのは裁判所の原則。本来、被害者側に立
つはずの検察までもが疑わしきは罰せずでいいのか」。警察関係者
は疑問を投げかける。
「ある弁護士は有罪率99%が」
ある弁護士は有罪率99%が維持されている実態に疑問を呈し、
維持されている実態に、戻る3
「公開の法廷で検察、弁護側双方が証拠を突き合せ、裁判官の判断
で有罪無罪を決めるのが、あるべき姿ではないか」と話した。金沢
地検不起訴率5割超、法廷で裁かず真相は闇に、検察が事件を「終
結」。検察が容疑者を起訴にするか不起訴にするかは非常に難しい
問題だと思います。検察の名誉と容疑者の名誉の2つがかかってい
るからです。もし間違えれば検察の名誉と容疑者の名誉が回復でき
ない場合が出てくる可能性があるからです。本当に大変な仕事だと
思われます。
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